病院に駆けつけた上本投手は村田さんの左手を握り「甲子園に連れて行くから頑張れ」と耳元で励ました。
村田さんは手術後、左手足が動かなくなり、目や耳の機能も低下。左利きだったのに、リハビリをしてもうまく動かない体に「死にたい」と思ったこともある。
ある日、上本投手は「下関球場に(秋季中国地区高校野球大会の)試合を見に来ないか」と電話した。
下関の中学時代は練習後、自転車で一緒に帰った仲。
村田さん車椅子で応援に行った。試合後、中井哲之監督が左手足をさすり「絶対歩けるようになれ」と励ました。
数日後、左手足が少し上下に動いた。「一緒に甲子園に行くという気持ちが、あの子をやる気にさせてくれた」。母直美さんは涙ながらに振り返る。